タンパク質の1日の必要量はどれくらい?毎日の食事で効果的に摂取する方法
体をつくる要素として必要な「タンパク質」。必要量が摂れていないと、筋肉量や免疫機能の低下など体に悪影響を与えてしまいます。健康維持のために、毎日の食事から適量のタンパク質を摂取することが大切です。タンパク質の働きや1日あたりの必要量、タンパク質が多く含まれる食材を知って効果的に摂取しましょう。
タンパク質の働き
炭水化物(糖質)、脂質に並ぶ三大栄養素の1つであるタンパク質は、私達の体をつくる上で欠かせない成分です。タンパク質は20種類のアミノ酸から構成されていて、そのうち9種類ある必須アミノ酸と呼ばれる成分は体内では生成されないため、食事からの摂取が必要です。最初にタンパク質の働きを詳しく見ていきましょう。
体の構成や機能を調節する
タンパク質は内臓や筋肉、爪や髪をつくるために必要な栄養素です。また体内の組織構成だけではなく、酵素やホルモンの生成の働きを担っています。例えばリラックスさせるセロトニンや、やる気を出すドーパミンなどの神経伝達物質にはタンパク質が関わっています。タンパク質は健やかな心身をつくるために必要不可欠で、年齢を問わず必要な栄養素です。
体を動かすエネルギー源になる
炭水化物や脂質からのエネルギー供給が不足すると、生命維持のためにタンパク質が分解されてエネルギー源となります。タンパク質は1gあたり4kcalのエネルギーを生成できます。
ただし、タンパク質が分解されてエネルギーに変わった場合は、体の構成や機能調節など本来の働きができません。筋肉量低下のリスクにもなるので、炭水化物や脂質も十分に補いましょう。
ただし、タンパク質が分解されてエネルギーに変わった場合は、体の構成や機能調節など本来の働きができません。筋肉量低下のリスクにもなるので、炭水化物や脂質も十分に補いましょう。
1日あたりのタンパク質の必要量
厚生労働省は日本人の食事摂取基準(2020年版) で、タンパク質の摂取推奨量と摂取目標量を示しています。摂取推奨量と摂取目標量から、自分にどれくらいタンパク質が必要なのかを考えましょう。
1日あたりのタンパク質の推奨量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日のタンパク質摂取量は成人男性で65g、成人女性で50gが推奨量です。推奨量とは、ほとんどの場合その量を摂れば摂取不足を回避できると考えられた量です。
特に妊娠中、授乳中はお母さんの健康と赤ちゃんの発育に、より多くのタンパク質の摂取が必要になります。妊娠後期は+25g、授乳期は+20gが推奨されています。また運動量によっても1日の必要量は異なるので、推奨量を最低限必要なタンパク質の量の目安として考えましょう。
1日あたりのタンパク質の目標量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病予防の目標とするタンパク質摂取量を示しています。タンパク質摂取の目標量は総摂取エネルギーの13〜20%ですが、身体活動レベルによって異なります。
例えば成人男性で身体活動レベル1(低い)は、75〜115g、女性で身体活動レベル1(低い)は57〜88gと推奨量より多く設定されています。タンパク質の目標量を意識して、食事を摂取しましょう。
タンパク質の摂りすぎや不足が体に与える影響
体を構成する重要なタンパク質は、過剰摂取や不足により体に影響を与える可能性があります。どのような症状を引き起こすのかを知っておきましょう。
摂りすぎると生活習慣病や腎臓病のリスクが高まる
タンパク質を過剰摂取すると、肥満などの生活習慣病の原因になる可能性があります。タンパク質が入った食品には脂質も含まれている場合が多く、カロリーオーバーになってしまうのが原因です。
また、腎臓はタンパク質を摂取した際に発生する老廃物を排泄する役割を持っています。過剰摂取は腎臓に負担がかかり、腎不全の発症リスクになることも。普段の食生活では、よほどのことがない限り過剰摂取は起こりにくいですが、高タンパク質なものばかりを食べないようにしましょう。
不足すると筋肉量の低下など体に影響が出る
タンパク質不足は筋肉量の減少を招き、基礎代謝量が低下するため、太りやすい体になってしまうリスクがあります。また脳の働きに関わる神経伝達物質は、タンパク質から生成される必須アミノ酸から構成されています。そのためタンパク質が不足すると脳の働きが鈍くなり、集中できなかったり、疲れやすくなったりする原因に。ほかにもタンパク質不足はむくみの原因にもなります。
むくみ解消に効果的な食べ物は、こちらの記事で紹介しています。
タンパク質を多く含む食品
続いて、タンパク質を多く含む食品を分類別に紹介します。含まれているタンパク質の量を併せて紹介するので、必要量を意識した食事を考える際の参考にしてみてください。
肉類
肉類には、必須アミノ酸が含まれている食品が多くあります。ただしタンパク質だけではなく脂質も多く含まれていることがあるので、過剰摂取には注意が必要です。
種類 | 100gあたりのタンパク質量 |
生ハム | 25.7g |
鶏ささみ | 23.9g |
鶏むね肉 | 23.3g |
牛もも肉 | 21.3g |
豚ロース | 19.3g |
肉類のなかでも鶏むね肉は、低カロリーかつ高タンパク質な食材です。次の記事で栄養素やおすすめのレシピなどを紹介しているので食事に取り入れてみましょう。
魚類
魚類は必須アミノ酸だけではなく、DHAやEPAといった良質な脂肪酸が含まれています。脂質は肉類と比べると少ない傾向です。
種類 | 100gあたりのタンパク質量 |
マグロ | 26.4g |
カツオ | 25.0g |
サケ | 22.3g |
ブリ | 21.4g |
サンマ | 18.5g |
タンパク質が豊富なカツオのおいしい食べ方を紹介した記事もチェックしてみてください。
卵
卵には、タンパク質だけではなくビタミンやカルシウムなどの必要な栄養素が含まれています。一方でコレステロール値が高いので、過剰摂取をすると動脈硬化のリスクが上がってしまいます。1日1~2個を目安にしましょう。
種類 | 100gあたりのタンパク質量 |
ゆで卵 | 12.9g |
卵黄 | 16.5g |
卵白 | 11.3g |
ゆで卵を電子レンジで手軽に作り、毎日の食卓にプラスしましょう。
豆類
豆類のなかでも、大豆は畑の肉といわれるほど豊富なタンパク質が含まれています。
種類 | 100gあたりのタンパク質量 |
納豆 | 16.5g |
きな粉 | 37.5g |
そらまめ | 9.8g |
発酵食品の1つである納豆は種類が豊富です。納豆をおいしく食べる豆知識やおすすめの選び方は、次の記事で詳しく紹介しています。
乳製品
乳製品のなかでも高タンパク質な食材はチーズ類です。
種類 | 100gあたりのタンパク質量 |
パルメザンチーズ | 44g |
ヨーグルト | 3.6g |
牛乳 | 3.3g |
普段の食事で摂れるタンパク質量の目安
タンパク質は、毎日の朝昼夜3回の食事からバランス良く摂取することが大切です。それぞれの食事でどれくらいタンパク質が摂取できるのか、献立例から見ていきましょう。
朝食
朝食では20g前後のタンパク質を摂るようにします。
<食事例>
・食パン(6枚切り1枚):5.3g
・牛乳(1杯):6.6g
・ハムエッグ(1枚):10.5g
・バナナ(1本):1.1g
タンパク質の合計量:23.5g
・食パン(6枚切り1枚):5.3g
・牛乳(1杯):6.6g
・ハムエッグ(1枚):10.5g
・バナナ(1本):1.1g
タンパク質の合計量:23.5g
朝食は食パンだけで済ませると、タンパク質が不足する可能性があります。バナナや牛乳などを一品追加するのもおすすめです。
昼食
昼食は20~30gほどを目安に摂取しましょう。
<食事例>
・ご飯(1膳):4.5g
・ワカメのお味噌汁(1杯):1.6g
・生姜焼き(1人前):19.1g
・ほうれんそうのお浸し(1人前):3.7g
タンパク質の合計量:28.9g
・ご飯(1膳):4.5g
・ワカメのお味噌汁(1杯):1.6g
・生姜焼き(1人前):19.1g
・ほうれんそうのお浸し(1人前):3.7g
タンパク質の合計量:28.9g
食事内容によってタンパク質の量は異なりますが、丼物のような一品料理を食べる際は副菜を追加して補います。
夕食
夕食では、朝食や昼食の内容や1日の運動量を振り返り、不足している栄養素を補いましょう。
<食事例>
・ご飯(1膳):4.5g
・豚汁(1杯):5.7g
・サケのホイル焼き(1人前):18.8g
タンパク質の合計量:29.0g
・ご飯(1膳):4.5g
・豚汁(1杯):5.7g
・サケのホイル焼き(1人前):18.8g
タンパク質の合計量:29.0g
食べるメイン料理によって汁物や小鉢料理を追加します。
効果的なタンパク質の摂取方法
タンパク質は必要量を一度に摂るよりも、複数回に分けた方が効果的です。食事だけで必要量を摂れない場合は、間食で補っても構いません。効果的なタンパク質の摂り方を知って、日常生活の中に取り入れましょう。
複数回に分けて摂取をする
タンパク質は一度に摂取しすぎると体外へ排出されます。栄養バランスを考えて3食でなるべく均等に摂取すると、効率的にタンパク質が摂れます。朝・昼・夕同じくらいのタンパク質量になるように、分散するのがおすすめです。特に朝食は抜いたり、簡単なメニューになったりするため意識して摂取しましょう。
間食で摂取する
食事で十分な量のタンパク質を補えないときは、調理の手間がかからない食品や飲み物を間食にするのがおすすめです。
<例>
納豆
ゆで卵
牛乳
ヨーグルト
チーズ など
納豆
ゆで卵
牛乳
ヨーグルト
チーズ など
ただし、間食は摂取しすぎるとカロリーオーバーにつながる可能性があります。間食でタンパク質を補うときは200kcalを目安にしましょう。
必要量のタンパク質を食事から上手に摂取しよう
タンパク質は体を構成する上で重要な要素。そのため、タンパク質が不足すると代謝がうまくいかなくなり、疲労感を感じやすくなることも。タンパク質を豊富に含む食材を積極的に食事に取り入れて、効率良く必要量を摂取しましょう。
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