賃貸物件の退去費用の相場とは?金額を抑えるポイントも解説
賃貸物件における「退去費用」とは、退去時に行う原状回復・クリーニングの費用です。通常は敷金から充てられますが、プラスで借主が支払う必要がある場合も。賃貸物件を退去する際、費用に関するトラブルは避けたいものです。いざという時のために、退去費用の概要や相場、費用を抑えるポイント、さらに、高額請求されたと思ったときの対処法もチェックしておきましょう。
- 退去費用にかかわる基礎知識
- 退去費用とは
- 借主に生じる「原状回復の義務」とは
- 退去費用の負担区分
- 退去費用の相場
- 間取り別の相場
- 居住年数別の相場
- 退去費用の内訳
- 原状回復|修繕内容と費用の相場
- ハウスクリーニング|清掃内容と費用の相場
- 退去費用を抑えるポイント
- 入居前|修繕費用の負担を確認する
- 入居後すぐ|入居時の部屋の原状を記録・共有する
- 入居中|設備の故障・不具合は管理会社にすぐ連絡する
- 入居中|日頃の部屋の使い方に気を付ける
- 退去前|可能な限り目立つ汚れを落とす
- 退去費用を高額請求されていると思った場合の対処法
- 見積書の内容を確認する
- 管理会社に問い合わせてみる
- 賃貸物件の退去費用に関する知識を深めて、納得の引っ越しを
退去費用にかかわる基礎知識
退去時のトラブルを減らすため、退去費用について知っておくことが大切です。まずは、退去費用の定義や、借主に生じる原状回復の義務、借主と大家さんが負担する費用の区分について解説します。
退去費用とは
退去費用とは、借りていた部屋から退去する際に発生する、原状回復やハウスクリーニングの費用です。これは、賃貸物件を退去する際、部屋を入居時に近い状態へと戻す「原状回復の義務」を果たすためのものです。
借主に生じる「原状回復の義務」とは
前途の通り、賃貸物件を借りると、借主には「原状回復の義務」が生じます。これは、民法第621条で明文化されているものです。故意に壊したり、不注意で傷を付けたり、掃除を怠ったりしてできた汚れなどが原状回復費用の対象となり、普通に生活する上で付いた傷や汚れは該当しません。
退去費用の負担区分
<原状回復費用>
自然損傷や経年劣化によるものは大家さんが負担します。例としては、家具を設置した跡やへこみ、経年によるクロス・畳の変色などです。対して、タバコのヤニによる壁の黄ばみ、結露を放置したことによるシミやカビなど、過失によるものは借主が負担します。
自然損傷や経年劣化によるものは大家さんが負担します。例としては、家具を設置した跡やへこみ、経年によるクロス・畳の変色などです。対して、タバコのヤニによる壁の黄ばみ、結露を放置したことによるシミやカビなど、過失によるものは借主が負担します。
<ハウスクリーニング代>
借主が通常の清掃を実施している場合は大家さん負担です。ただし、賃貸借契約の特約で借主の負担とされているケースもあり、特約が認められるかは有効条件を満たしているかどうかで変わります。
借主が通常の清掃を実施している場合は大家さん負担です。ただし、賃貸借契約の特約で借主の負担とされているケースもあり、特約が認められるかは有効条件を満たしているかどうかで変わります。
退去費用の相場
退去費用の相場は、間取りや居住年数からある程度予想することができます。しかし、部屋の状態によって金額が上下する可能性があるため、以下の相場はあくまでも一つの目安として参考にしてみてください。
間取り別の相場
間取り別で考えると、部屋が広くなるほど家全体のハウスクリーニング代・修繕費がかかると予想できます。おおよその相場は以下の通りです。
間取り | 退去費用の相場 |
---|---|
ワンルーム~1LDK | 50,000円 |
2K~2LDK | 80,000円 |
3DK~4LDK | 90,000円 |
居住年数別の相場
居住していた年数に比例して高くなる傾向があります。とはいえ、経年劣化による損傷は借主が負担する必要はないため、過剰に発生することはありません。請求費用が通常より高い場合は、内訳を精査してみましょう。
居住年数 | 退去費用の相場 |
---|---|
~3年 | 50,000円 |
4年~6年 | 60,000円 |
7年~ | 85,000円 |
退去費用の内訳
続いて、原状回復の修繕内容とハウスクリーニングの清掃内容、それぞれの費用の相場について紹介します。ただし、実際の費用は補修の規模・時期・業者によって変動する可能性があります。
原状回復|修繕内容と費用の相場
原状回復の主な修繕内容と平均費用は以下の通りです。
修繕内容 | 平均費用 |
---|---|
壁紙の張り替え (1㎡あたり)
|
750~1,500円 (追加で廃材処分費がかかる場合あり)
|
壁や天井の下地ボードの取り替え | 20,000~60,000円 |
トイレの水垢・カビ除去 | 5,000~15,000円 |
浴室の水垢・カビの除去 | 5,000〜20,000円 |
キッチン周りの汚れの除去 | 10,000〜25,000円 |
床材の汚れの除去 | 10,000~25,000円 |
サッシの汚れの除去 | 10,000~20,000円 |
柱の修繕 | 10,000~60,000円 |
カーペットの張り替え (1畳あたり)
|
8,000~15,000円 |
フローリングの張り替え (1畳あたり)
|
20,000~60,000円 |
ハウスクリーニング|清掃内容と費用の相場
ハウスクリーニングは、専門業者によるエアコン・床・ベランダ・水回りの清掃、床のワックス掛けなどが行われます。以下は、部屋全体のハウスクリーニングの相場です。
間取り | ハウスクリーニングの相場 |
---|---|
ワンルーム・1K | 15,000〜30,000円 |
1DK・2K | 20,000〜40,000円 |
1LDK・2DK | 20,000~45,000円 |
2LDK・3DK | 30,000~60,000円 |
3LDK・4DK | 35,000~80,000円 |
4LDK・5DK | 40,000円~ |
著しく部屋が汚れていると、相場よりも費用が高くなる可能性があります。また業者が車で訪問する場合、依頼主の物件に駐車場がないと、外部のコインパーキングの利用料金を依頼主が負担することも。ハウスクリーニング代に、その駐車場代が加算される場合があります。
退去費用を抑えるポイント
退去費用を抑えるためのポイントは、入居前・入居後すぐ・入居中・退去前に、それぞれあります。費用を抑えたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
入居前|修繕費用の負担を確認する
通常、賃貸借契約書には修繕費用の負担に関する項目があるため、契約をする際に必ず内容を確認しておきましょう。相場から大きく離れていたり、支払いが難しくなるような条件だったりした場合は、その物件を契約しないという選択を検討しても良いかもしれません。
入居後すぐ|入居時の部屋の原状を記録・共有する
入居当初からある損傷の修繕費を、退去時に請求されないよう、入居後すぐにやるべきことがあります。入居してすぐは管理会社や大家さんの立ち会いの下、傷や汚れの現況を一緒に確認できると安心です。もしくは、傷や設備の故障などを記入した現況確認書を自分用と管理会社用に作成しておくと良いでしょう。スマートフォンなどで該当箇所を撮影したデータもあると望ましいです。
入居中|設備の故障・不具合は管理会社にすぐ連絡する
設備などの故障や不具合が起きたときは、管理会社にすぐに連絡を入れるのが大切です。通常の使用による故障や不具合に対する修理費用は大家さんが負担します。しかし、故障や不具合を放置して修理不可能となってしまったり、それにより著しい汚れやカビが発生したりした場合は、借主負担になる可能性も。
入居中|日頃の部屋の使い方に気を付ける
故意や過失による損傷の修繕費は借主が支払わなければならないため、部屋の使い方には十分に気を付けましょう。
故意や過失による損傷例
・釘やビスによる壁の下地の損傷(画びょうなどの短いものでも、穴が多い場合は請求されることも)
・換気を怠ったり、結露を拭かずに放置したりして発生したカビ
・喫煙による壁紙の変色
・釘やビスによる壁の下地の損傷(画びょうなどの短いものでも、穴が多い場合は請求されることも)
・換気を怠ったり、結露を拭かずに放置したりして発生したカビ
・喫煙による壁紙の変色
画びょうについては、契約書で使用の可否が明示されている場合があります。事前に契約書を読み、使用可否の確認をするのが大切です。また、タバコは換気扇の下で吸っても、においとヤニ汚れが室内全体に広まってしまい、壁紙をすべて張り替えなければならないこともあるので注意が必要です。
退去前|可能な限り目立つ汚れを落とす
退去するときは、キッチンの油汚れや水回りの目立つ汚れなど、自分で落とせるものは掃除しましょう。部屋をなるべくきれいな状態で引き渡すことで、ハウスクリーニング代を抑えられる場合があります。
退去時の掃除のコツについては、以下の記事で場所別に紹介しているので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
退去費用を高額請求されていると思った場合の対処法
退去費用で高額請求をされたという事例もまれにあり、中には月々の家賃が10万円前後にもかかわらず200万円を請求されたケースも。最後は、万が一高額な退去費用が請求されている可能性を感じた場合の対処法を解説します。
見積書の内容を確認する
支払う必要のない費用まで請求されていないかを知るために、退去費用の内訳を確認します。特に、以下の点に注意してチェックしてみてください。
・過失がないのに請求されている張り替え費用がないか
・経年変化が考慮されずに請求されているものはないか
・原状回復費用の負担範囲を超えた請求はないか
・経年変化が考慮されずに請求されているものはないか
・原状回復費用の負担範囲を超えた請求はないか
管理会社に問い合わせてみる
内訳をチェックした上で、必要であれば管理会社に説明を求めましょう。退去費用の見積書と国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしながら、納得できない場合は価格交渉します。
また、公益財団日本賃貸住宅管理協会や消費者ホットライン、一般財団法人日本消費者協会や弁護士などに相談する方法もあります。
賃貸物件の退去費用に関する知識を深めて、納得の引っ越しを
今回は賃貸物件における退去費用の相場や内訳、金額を抑えるポイントを紹介しました。何かと費用がかさむ引っ越しの際には、なるべく退去費用を抑え、敷金が戻ってくるようにしたいものです。できる限りの対策をして、ぜひ納得のいく引っ越しにつなげましょう。
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