きれいな水に、魚は住めない
ちょっと前のコラムで、「ストレスがある人は、幸せな人」というお話しをしました。日本の養殖魚が天然魚並みに質の良い理由は、漁網にわざと天敵を入れて、あえてストレスを与えるから…という内容です。
ところでみなさんは、「海」といえばどんな風景が浮かびますか? 日本海の荒波、それとも南太平洋等の島々の透き通った海でしょうか? おそらく、青くて透明(マリンブルー)な海を浮かべる人が多く、濃い緑色の海と答える人は少ないと思います。
日本のおいしい魚の多くは、瀬戸内海のような濃い緑色の海で捕れます。お世辞にもきれいだとは言えないこの緑色の海の水は、魚にとって栄養価の高いプランクトンをたくさん含んでいます。加えて、山地が近い瀬戸内海などは、川から流れてくる豊富なミネラル分にも恵まれ、魚が育つ好条件がそろっている…という訳。反面、南太平洋のような透明な海は、「海の砂漠」のようなもの。魚たちにとっては、過酷でツラ~い場所なのです。
人生の中では、きれいなものより汚いものを見る機会が多い。悩みのない人より、悩む人の方が多い。そんな環境だからこそ、人はたくましく成長できるのだと思いませんか?〔北村昌弘〕